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1/29diary 愛の流刑地

難波高島屋前の丸井なんば店建設に伴い取り壊された、青春の思い出が一杯詰まった映画館「南街劇場」。
このたび丸井開店と共に「TOHOシネマズなんば」として再興されました。
キャリア層の必読新聞、日本経済新聞掲載で話題になった、
「愛の流刑地」略して「愛ルケ」を見るべく初見参ですぅ。
やっぱ映画館て、スクリーンが大きいてナンボ、
音が良うてナンボですなぁ。
ここはフェスティバルホールのように椅子席が階段状に設定されているので、スクリーンも見やすく、しかも185cmの僕でも足もとがゆったり座れて「ぶらぼぉーっ!」の一言ですわ。

あ、さてさて、
肝心の映画の方の雑感です。
女性専用と一般用の2劇場用意されてたので、
(メ-_-)σさすがにR15指定だけあって、一般用はカップルばっか!
(」lll ̄ロ ̄)」-しょえーーーっ!
あんたら映画見終わったあと何しはりますのーん?(〃 ̄ω ̄)σぁゃιぃ
前の席のここかしこで寄り添う二つのおつむ・・・。
「な、何しとんぢゃー!ちゃぁんと映画見とかんかぁーい!」
ヾ(ーー )ォィ
おやぢ、落ち着いて映画見てられへんやんかいさ~!
マテイ(;-"-)ノ"~~~~

この切ないまでも純粋で、情熱に溢れた恋愛ストーリーを見終え、
かなり的外れで常識を逸脱した価値観になると思いますが、
あくまで私見として感想を述べてみます。

1/29diary 愛の流刑地_e0083155_12371767.jpg昔「浮気」と呼ばれた、常識道徳外れも甚だしいと忍ぶ恋だった「不倫」も、人の倫理観やライフスタイルが多様化された現代においては、
例えいくつになっても、
例え家庭人としての制約があったとしても、
「すべてを捧げる」「身を焦がす」恋に巡り逢い、
それを甘受出来るとしたら、ある意味幸せなことだと思っています。
パンフレット掲載の寺島しのぶさんのコメントを借りて言うなら、
「人生で出会ってしまった運命の人を一途に愛する、その素晴らしさ」は、
本当にすべてを捧げた恋を経験した人なら、
様々なしがらみや宿命の逆風の中で、燃えるような恋に墜ちた人ならば、
映画の内容とリンクして深く理解できると思います。

1/29diary 愛の流刑地_e0083155_12373256.jpgただ、主婦である女性が家族と恋人の間に悩んだ挙げ句、
袋小路に入り込んで恋人に「殺して」と嘆願する状況にまで追い込んでしまうオトコの理性の無さには、
甚だ疑問が残りますなぁ・・・。
相手を深く愛する男性ならば、
引いてはその家族に対しても深く思いやり、
ともすれば盲目になりがちな女性を諭すスタンスも必要では、と考えます。
そんなスタンスでは中途半端な恋に終わると言われそうですが、
大切な家族に背いた行為に変わりないのですから、
それを最低限の大人の恋としてのマナーとすべきではないでしょうか。

僕が特に印象に残ったのは、
冒頭、菊治(トヨエツ)が冬香(寺島)の首を絞めて殺したあと、冬香の腕を自分の首に回して抱き合うシーン、
セリフでは、
京都のホテルグランヴィアの一室で冬香が菊治に抱かれながら言う「おまかせします」
箱根の旅行で冬香が言う「今まで生きて来て一番幸せ」
1/29diary 愛の流刑地_e0083155_12375226.jpg裁判所で菊治が検事の織部(ハセキョー)に叫ぶ「あなたは死ぬほど人を好きになったことがあるのですか」
同じく裁判所で菊治が最後に言う「冬香は本当に私を愛してくれてたんだと、この裁判を通じて良く解りました」
辺りでしょうか。

ただ・・・アンポンタンな僕の頭では、
愛する男に「殺してください」という女性の心理が今一つ理解出来なかったのですが、
映画の最後の、冬香の母(富司純子)の裁判所での冒頭陳述から、
菊治が留置所の中で死ぬ前に冬香が菊地に宛てた手紙の中身を読むシーンで、一気に冬香の胸の内が明らかになるにつれて、切なすぎて、いじらしすぎて、僕は涙が止まりませんでした。

そうしてエンディングは、涙に追い打ちをかけるように、
おわら節を優雅に踊る冬香に見とれる菊治のシーンに、
平井堅の哀歌(エレジー)が流れて来ます。
それぇ、反則ですや~ん!
あぁ、ホンマずっこいやっちゃのぉー。
もうボロボロ涙が止まりませんわぁーん。

しがみついた背中に そっと爪を立てて
私を刻み込んだ もっと 夢の中へ

ひらひら 舞い散る 花びらが一つ
ゆらゆら 彷徨い 逝き場を無くした

その手で その手で 私を 汚して
何度も 何度も 私を壊して
汗ばむ淋しさを 重ね合わせ
眩しくて見えない 闇に落ちてく
いつか滅び逝くこのカラダならば
蝕まれたい あなたの愛で

恋愛もので久々にいい映画に巡り会えたなあ、と実感させる作品でした。
原作者の渡辺淳一さんも原作の想いを今までで唯一忠実に再現してもらったので、思わず泣けた、とおっしゃってたそうです。
鶴橋康夫監督恐るべし、ですねえ。

by hinomarufighter | 2007-01-29 12:38 | 日記